なぜ、手数料の負担をしても、不動産会社に売買仲介を依頼するのでしょうか? その理由は、売主と買主の間に第三者の不動産会社に入ってもらい、ワンクッション置いて「相対取引」を避けたほうが、取引がスムーズに進むことを知っているからです。そこで、不動産会社の営業担当者が調整役となることで、冷静に話を進めることができます。このように売買当事者同士で行う取引を「相対(あいたい)取引」といいます。しかし、不動産流通業界において、この相対取引を行うことは、現実にはまずありません。ただし、不動産会社であればどこでもいいということではなく、不動産会社の質、営業の質にもよりますので、不動産会社選びは重要です。
相対での交渉は非常に難しく、双方が感情的な言い合いになって、話がこじれるおそれさえあります。また、何度も取引したことのあるベテラン投資家でも、不動産会社に仲介を頼みます。その場合、入居状況の調査が必要ですし、住戸内は見られないため、外観や管理状態などからさまざまな要素を判断しなければならないことも珍しくありません。相場動向や売買取引事例などの客観的なデータに基づいて価格の根拠を示し、双方に交渉を行うため、お互いに納得のいく取引ができる可能性も高くなります。また、売主、買主は、自分の思いや要望をすべて営業担当者に伝えることによって、ストレスが軽減でき、冷静な判断をしやすくなります。
売主や買主が不動産会社同士であっても、あえて別の不動産会社に仲介してもらうことも珍しくありません。それでは、詳細を見てまいりましょう。確かに、不動産の売買は、個人の売主と買主の間で直接やりとりすることも可能です。これは、取引経験が豊富で調査に慣れていないとできないことです。「物件情報はネット検索で調べられるから、不動産会社に頼まずに個人で取引したほうが仲介手数料も節約できるのでは?」といった疑問が寄せられることがあります。
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